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うつ病とは
気分が落ち込んだり、憂うつな気分になったりすることは、どなたでもある感覚です。
そのような抑うつ状態が長く続き、重症化した状態であればうつ病と診断されます。
これらうつ病は決して珍しいものではなく、日本人の約15人に1人が経験する身近なものと言われています。
札幌市の衛生年報(平成23年)でも15歳~39歳までの死因の1位に自殺が位置するなど、
札幌市でも身近な、そして注意するべき疾患と言えます。
そのため、「札幌市健康づくり基本計画 平成26年~平成35年」でも“こころの健康を保つこと”が基本要素として挙げられ、
相談できる環境の整備を行政として取り組むことが盛り込まれています。
うつ病の症状
以下のような症状がでることがあります。
次のような症状が長く続く場合にはご相談ください。
※その症状は多岐にわたり、後述のDSM-5(アメリカ精神医学会が作成している診断基準)にもあるように、ご自身だけでなく周りの方からも判断されるべき症状もあるので、周囲の方からの相談も有効です。
①気分の症状 | 憂うつな気分、気分が落ち込む、悲しみ、不安感、焦燥感 |
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②行動の症状 | 興味や、喜びの喪失、気力がなくなる、思考力や集中力が低下する |
③思考の症状 | 罪の意識で自分を責める、死について考える、些細な事にこだわる、悲観的に考える |
④身体の症状 | 不眠、食欲の低下、体重の減少、増加、疲れやすい、頭痛、肩こり、動悸、めまい |
⑤周囲から観察される症状 | 表情が暗くなる、涙を流すことが多い、精神的な反応が遅くなる、酒量が増える |
うつ病の治療
休養をとることと、薬物による治療も有効です。これは、他の身体的な疾患と同じです。
薬物による治療では、抗うつ薬、抗不安薬、眠れない場合には睡眠薬などで治療する場合があります。(もちろんそれ以外も用いられます)
必要に応じて、医師との対話による精神療法を行う場合もあります。
こころの病気は、体の病気と同じかそれ以上に、個人差があります。よってその治療方法も同じではなく、その方にあったものが選ばれます。まず医師との相談が大切となります。
抗うつ薬 | 脳の中のセロトニンやノルアドレナリンという物質の働きを高めます。 それによって、抑うつ気分を抑えたり、意欲を増したり、不安感や緊張感を取り除きます。 |
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抗不安薬 | 不安感や焦燥感が強い場合に用いられます。抗うつ薬と一緒に服用することもあります。 |
睡眠薬 | なかなか寝付けない、睡眠が浅い、など睡眠障害がある場合に用いられます。 |
DSM-5による大うつ病診断基準
A. | 以下の(1)~(9)うち5つ以上の症状が直近2週間に存在し、以前の機能から変化を起こしている。 そのうち少なくとも1つは抑うつ気分(1)か、興味や喜びの喪失(2)である。 注意:明らかに他の医学的な疾患が原因で起こる症状はこの限りではない。 |
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(1) ほぼ毎日、ほぼ一日中が抑うつ状態となる。その状態は、本人からは例えば「悲しみ、虚ろな感覚、絶望」などと表現され、または他者からは「涙を流している」ように表現される。 注意:小児や青年ではイライラする気分も含まれる。 |
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(2) ほぼ毎日、ほぼ一日中、全て(またはほぼ全て)の活動で興味や喜びが目立って少なくなる。(その人本人や他者からの説明によって示される。) | |
(3) ダイエット・食事療法などをしていないのに明らかな体重減少、体重増加がある(例 1ヶ月で体重の5%以上の増減がある)。または、ほぼ毎日、食欲の減退や増進がある。 注意:小児では、想定される体重増加がないことも考慮するべき。 |
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(4) ほぼ毎日に渡る、不眠や過眠がある。 | |
(5) ほぼ毎日に渡る、精神的焦燥や遅延/制止がある。(これらは本人によって落ち着かなくなった、遅くなったと表現されるものではなく、他者によって観察される。) | |
(6) ほぼ毎日、疲労感や、気力の減退がある。 | |
(7) ほぼ毎日、自分に価値がないと感じる、または、妄想である場合も含めて、過剰や不適切に罪悪感がある(単に自分自身を責めることや、病気になったことに対する罪悪感ではない) | |
(8) ほぼ毎日、思考力や集中力が減退し、優柔不断となる。(これらは本人または他者によっても観察される) | |
(9) 死について繰り返し考えたり(単に死の恐怖ではなく)、特に計画はないが自殺について考えたり、自殺企図したり、自殺のためのはっきりした計画がある。 | |
B. | その症状が、臨床的に意義のある苦痛の原因となる、または社会的、職業的、または他の重要な分野における機能的な障害の原因となっている。 |
C. | その症状は何らかの物質による生理学的効果、または他の医学的疾患によるものでない。 注意:重大な損失(例えば死別、経済的破産、自然災害による損失、重病、障害)があった場合の反応には、条件Aにあるようなうつ病の症状に似た強い悲しみ、喪失感の反芻、不眠、食欲減退、体重減少があり得る。それらは、損失に対する適切な症状として理解され、考慮されるかもしれない。しかし重大な損失への通常の応答に加えて、大うつ病の症状としても慎重に考慮する必要がある。この判断には必然的に、一連の喪失から生じる苦痛の表し方に対する個人的な歴史や文化的な規範に基づく臨床判断が必要となる。 |
D. | その大うつ病エピソードは、統合失調感情障害、統合失調症、統合失調症様障害、妄想性障害、または他の特定/不特定の統合失調症スペクトラム障害や他の精神病性障害群の症状としてはうまく説明されない。 |
E. | 躁病エピソードや軽躁病エピソードはない。 注意:ただし別の病状の生理的影響によって引き起こされる、躁または軽躁のようなエピソードの場合は、この排除の基準は適応されない。 |
参照: 厚生労働省HP,札幌市HP